学問のためにアイヌを研究・議論することは良いが、日本社会が今になってアイヌ問題を取り上げているのは、「多文化共生社会」を謳うことによる移民政策への布石など、「政治的意図」を孕んでいる恐れがあることを認識すべきである。
【よくある指摘】 アイヌは北海道の先住民族だ
【反論】 アイヌが北海道へ渡来したのは和人の遥か後である
オホーツク人は樺太北部やアムール川下流域を原住とした狩猟・漁猟民で、ニヴフ人という少数民族を共通祖先とする。
オホーツク人はツングース系民族やモンゴル系民族とは別系統の民族である。すなわち縄文人とは異なる民族であり、
アイヌは「先住民族」とは言えない。
また、国立遺伝学研究所教授の斉藤成也氏などが関わっている論文によると、
アイヌ新法は、「アイヌを先住民族とする」ものであるが、このように科学的根拠のないことを前提に法制化している点に留意する必要がある。
繰り返し述べるが、事実か否かの議論以前に、アイヌ問題には「政治的意図」が孕んでいることを認識すべきである。(このサイトで解説しているテーマは全て同様であるが)
【よくある反応】 和人とアイヌの祖先は共通であるという説も存在する
【反論】 和人とアイヌの祖先が共通でもアイヌが先住民族とはいえない
和人、アイヌ、沖縄(県民)の遺伝子はほぼ同じであり、共通の祖先を持つという説も存在する。
<日本人・アイヌ人共通祖先説>
マンモスを追ってシベリアからやってきた日本人の祖先たち(北方ツングース)は、約2万年前に北海道に到達し、
その後、南下し日本列島全体へと移り住んでいった。また南方から渡って来ていた先住民や、大陸からの渡来人とも混血していったが、基本的にはアイヌ人も本土日本人も琉球人も同じ遺伝子を受け継いでいるとする説である。
しかし、
100歩譲って従来の学説が正しい(アイヌ人が縄文人から枝分かれした民族)としても、
そもそも、アイヌ人が和人よりも先に北海道に住んでいたことを示す遺跡はない。
アイヌがいつ樺太から南下して北海道に渡来したのかは分かっていないため、今後、新しい説が出て来る可能性はあるが、
文献で見られるアイヌ人の記述は13世紀がもっとも古い。
すなわち、
そもそも、和人とアイヌ人の祖先が共通である場合、どこからが「アイヌ」であるかは曖昧で判断し難い。
伝承されているアイヌ文化を体現している民族をアイヌと呼ぶならば、10世紀後半の鹿送りの痕跡は発見されている。
そして、
それ以前の縄文土器は見つかっているが、同時代のアイヌの遺跡は見つかっていない。
すなわち、文化的側面で和人とアイヌを分けた歴史解釈でも、
アイヌは北海道の先住民族ではなく、少なくとも、アメリカのインディアンとは全く状況が異なる。
また、初期のアイヌの遺跡から和人から購入したとみられる日本式の日用雑貨が発見されており、
アイヌは和人より後から北海道にきて和人から北海道での生活方法を学んで北海道に定住したと推察することも可能である。
少なくとも、北海道の先住民がアイヌか和人かは、議論の余地があり「アイヌが北海道の先住民」と断定することはできない。