竹島問題

【よくある指摘】 竹島は国際法上、韓国の領土

【反論】 サンフランシスコ講和条約で日本の領土と確定している

まず、現在の日本の領土はサンフランシスコ講和条約で確定したという大前提を踏まえる必要がある。

それ以前の、1905年に日本が竹島を編入した経緯や、まして江戸時代に起きたことは問題にならない。

そして、サンフランシスコ講和条約において、日本が放棄すべき領土の中に、竹島は含まれていない。

サンフランシスコ講和条約の草案起草において、日本が竹島を放棄するよう要求する韓国の意見書に対し、米国のラスク極東担当国務次官補は以下のとおり回答している。

【引用】
『ラスク書簡』

独島、または竹島ないしリアンクール岩として知られる島に関しては、この通常無人である岩島は、我々の情報によれば朝鮮の一部として取り扱われたことが決してなく、1905年頃から日本の島根県隠岐島支庁の管轄下にある。この島は、かつて朝鮮によって領有権の主張がなされたとは見られない。

【よくある反応】 ラスク書簡は連合国の意思ではない

【反論】 連合国の意思と見なせる

多数の国家が関係する条約を作成する場合、「条約起草国の意図を示した条約本文」に多数の国家が同意し署名することになる (もし、条約に同意できない部分があれば、条約に参加する時点で「留保」を行う必要がある)。

つまり、サンフランシスコ講和条約では「条約起草者であるアメリカの意図に対して、他の多数の国家が同意した」ということになる。

条約起草者の意図を無視する主張は、条約そのものの価値を失わせる国際法上あり得ない行為となる。

【よくある反応】 ラスク書簡はサンフランシスコ講和条約の前の草案にすぎないため、決定事項ではない

【反論】 サンフランシスコ講和条約の決定事項と見なせる

条約起草者であるアメリカは、韓国政府に対して、1952年12月4日付の外交文書で、韓国の「竹島は韓国領土」という主張に対して、 「竹島に関する決定は、1951年8月10日のラスク書簡の通りです」と韓国に通達している。

サンフランシスコ講和条約の発効は1952年4月28日のため、この外交文書が1952年12月4日に送付されたということは、 ラスク書簡がサンフランシスコ講和条約そのものに対する決定事項であると見なすことができる。

【よくある指摘】 サンフランシスコ講和条約で領土が確定するなら日本は北方領土の領有を主張できない

【反論】 千島列島に北方四島は含まれない

日本はサンフランシスコ講和条約により、南樺太と千島列島に対するすべての権利を放棄したが、そもそも北方四島は千島列島の中に含まれない。

【よくある反応】 サンフランシスコ講和条約で、日本政府は千島列島の定義は北方四島も含むと答弁している

【反論】 1956年に答弁を撤回している

サンフランシスコ講和条約では、千島列島の定義(範囲)は曖昧なままとしており、指摘している日本政府の答弁も反映されていない。

そして、日本政府は1956年に北方四島の領有を改めて主張している。

そして、米国政府がソ連政府に当てた1957年の書簡では、「サンフランシスコ条約、ヤルタ協定などの"千島列島"という言葉が、従来常に日本本土の一部であったものであり、従って正義上日本の主権下にあるものと認められるべき歯舞群島、色丹島又は国後島、択捉島を含んでもいなければ含む様に意図されもしなかったということを繰り返し言明する。」としている。

米国政府は、1956年9月7日の国務省覚書で、「択捉、国後両島は歯舞群島及び色丹島とともに常に固有の日本領土の一部をなしてきたものであり、かつ、正当に日本国の主権下にあるものとして認められなければならないものである」という公式見解を出している。

これは、サンフランシスコ講和条約の草起国である米国政府の見解であることに意義がある。

そもそも、ソ連はサンフランシスコ講和条約には署名していないため、同条約上の権利を主張できない。

サンフランシスコ講和条約の会議の中でソ連は「千島列島はソ連のものにするに変えるべきだ」と主張したが認められず、条約の調印を拒否している。

よって、少なくとも、サンフランシスコ講和条約で日本が千島全島を放棄したとしても、北方四島(厳密には千島全島と南樺太を含むが)は無主の地となり、日本政府は改めて領有を主張することができると解釈できる。

すなわち、北方四島はロシアによる不法占拠が続いているとする外務省の見解が正しい。

【よくある指摘】 竹島問題は国際司法裁判所に付託しようとするのに、北方領土問題は付託しないのは矛盾している

【反論】 北方領土問題も国際司法裁判所に付託しようと提案している

1972年10月23日にモスクワで開催された日ソ外相会談において、大平外相は北方領土紛争の国際司法裁判所への付託を提案した。

しかし、グロムイコ外相は付託を拒否している(1986年4月2日の参議院外務委員会における小和田恆外務省条約局長答弁)。

【よくある指摘】 SCAPIN-677で日本は竹島を放棄している

【反論】 SCAPIN-677は行政指示書にすぎない

SCAPIN-677の第6条には 「この指令中の条項は、何れも、ポツダム宣言の第8条にある小島嶼の最終的決定に関する連合国側の政策を示すものと解釈してはならない」 とある。

この訓令自身に「この訓令を、連合国側の領土規定を決定づける要素として理解してはいけません」と記載している。 つまり、「竹島が韓国領である証拠として使っては駄目です」と、SCAPIN-677に明記している。

そもそも、SCAPINを領土決定の論拠とする事はできない。 SCAPINは日本政府に対する訓令であり、行政一般に対する指示書であって条約ではない。

【よくある指摘】 長期実効支配しているのだから、竹島は韓国の領土

【反論】 実効支配は領土編入の根拠にならない

「実効的占有」は領土編入の権原(法的根拠)ではなく、「領土編入の権原に必要な条件の一つ」にすぎない。

さらに付け加えると、「実効的占有」の条件に「平穏で継続的に支配を行い、他国からの抗議がないこと」が条件となる。

日本が抗議を行っている時点で実効的占有ではない。また、年に50~100回の頻度で日本の海上保安庁の艦艇が竹島周辺を航行していることを付け加える。

つまり「不法占拠」となる。不法占拠を長期間続けても時効にはならない。 さらに、時効を主張することは、権原(根拠)も無しに他国の領土を占有している(国際法違反)ことを自ら認めていることになる。

そのため、世界の歴史上、一度も「時効」が認められたケースはない。

【よくある指摘】 日本人裁判官がいるので、竹島の領有をめぐって国際司法裁判所には出られない

【反論】 日本の裁判官は関与できない

国際司法裁判のルール上、判決に当事国である日本の裁判官は関与できない。

尚、アメリカは、国際司法裁判所にて、ニカラグアに敗訴したケースもある。この事実は国力の差によって判決が左右されないことを示している。

【引用】

『 ソウル大学名誉教授(経済史学者)』(安秉直)
率直に言って、独島関連資料は日本の方がたくさん持っています。日本は1905年に、既に独島に対する国際的認定を受けているからです。 我が国は現実的に領有しているというだけです。もしこの問題が国際司法裁判所に行ったら、当然文献と証拠をたくさん持っている日本が勝つことになります。 現政権がこの問題を国際司法裁判所に持って行かないのも、このためですね。