経済と財政

【補足】
経済・財政を語るにあたり、インフレ・デフレの区別と貨幣というものの本質を理解することは大前提である。

インフレとは、『欲しがる人が多すぎて、生産が追い付かない(供給多寡)』状況であり、デフレとは『生産力がありすぎて、欲しがる人が少ない(需要不足)』状況である。

2023年現在の日本はデフレ(デフレギャップ-0.4%~-0.3%程度)である。
また、貨幣とはインフレ・デフレの調整弁の役割を果たす。

それでもピンと来ない方は、一度マクロ経済学を学習することをお勧めする。

【よくある指摘】 金利が上がった場合、日銀は保有する国債の金利負担に耐えられなくなる

【反論】 日銀が保有する国債の利息は国庫へ返ってくる

日銀が引き受けた国債は日銀の資産になる。これに対する利息は国が負担し、日銀の収益になる。 その日銀の収益のうち、運営費を除いたお金は国庫へ戻る。

したがって、日銀が保有する国債の利息は、政府にも日銀にも負担にならない。

仮に、日銀に国債の利息負担があるとして、それに耐えられないのであれば、さらに赤字国債を発行し円を供給すればいい話である。

そもそも論として、このような言説を主張する者は、日銀が国債を買うと政府債務が(事実上)消滅するという大前提を踏まえていない。

当然、やりすぎればインフレになる。しかし、今はコストプッシュインフレであり、実質デフレである。 デフレのときにインフレへ向かう政策は正しい。

【引用】
新世紀のビッグブラザーへ(三橋貴明 2020年12月25日)

面白いのは、植田(植田和男氏)は日銀の国債買取による「金利調節機能」は取り上げるのですが、日銀が国債を買うと「政府債務が(事実上)消滅する」事実は無視するのです。何しろ、それを認めてしまうと、議論が根底からひっくり返ってしまいますので。

【よくある反応】 金利が上がった場合、日銀は日銀当座預金の金利負担に耐えられなくなる

【反論】 中央銀行が債務超過になっても何ら問題はない

日銀は自ら決済手段を持っているため、一時的に債務超過になっても何ら問題はない。

オーストラリアも一時債務超過になったが、全く問題なかった。

仮に、日銀当座預金の金利が日銀の損失に計上され、日銀保有国債の金利分の収益が国庫に戻らないと仮定しよう。

その場合、税金から国債の償還を避けるなら「借換債」を発行すればいいだけの話である。

一般的にこれは「借金に借金を重ねる」という、トンデモない行為に見えるが、自ら通貨を発行できる政府日銀だからできることである。

繰り返すが、やりすぎればインフレになる。しかし、今はコストプッシュインフレであり、実質デフレである。 デフレのときにインフレへ向かう政策は正しい。

【引用】
中央銀行の財務と金融政策運営(日本銀行企画局 2023年12月12日)

管理通貨制度のもとで、通貨の信認は、中央銀行の保有資産や財務の健全性によって直接的に担保されるものではなく、適切な金融政策運営により「物価の安定」を図ることを通じて確保される。そうした前提のもとで、中央銀行は、やや長い目でみれば、通常、収益が確保できる仕組みとなっているほか、自身で支払決済手段を提供することができる。したがって、一時的に赤字または債務超過となっても、政策運営能力に支障を生じない。

【引用】
意外と知られていない銀行と国債のしくみ:中野剛志(通産・経産官僚、評論家)

自国通貨を発行する政府は、金利分も含めて借換債を発行すれば良いだけです。こんなことは、べつにインチキでもなんでもなくて、普通に行われていることです。国債の返済のためにどんなに政府の債務が積み上がっても、また借換をやればいいので、将来の増税は全く必要ありません。

【引用】
新世紀のビッグブラザーへ(三橋貴明 2022年4月22日)

先日、参議院の決算委員会で鈴木財務大臣が認めざるを得なかったように、日本銀行保有国債は「政府に返済義務がある負債」ではありません。

日銀保有の国債など、地球滅亡の日まで借り換えしていけば済む話です。金利にしても、日銀の決算が終わると国庫納付金として戻ってきます(その後、税外収入に組み込まれます)。